ペルセポリス見学の後、ナグシェ・ロスタムに向かいました。ナグシェ・ロスタムは、ペルセポリスの北東6kmの所にある岩山に造られたアケメネス朝の王墓です。
車窓から、岩山の尾根の末端部に造られた王墓が見えてきました。
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ナグシェ・ロスタムの入り口。
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入ってすぐの所に高台があり、ナグシェ・ロスタムの全景を眺めることができました。
右端に、角度が少し違えてクセルクセス1世の墓。
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続いて、右からダレイオス1世、アルタクセルクセス1世、ダレイオス2世の墓が並んでいます。もっとも、ダレイオス1世の墓以外は、別な説もあるようです。
時代的には、ダレイオス1世、クセルクセス1世、アルタクセルクセス1世、二代飛んでダレイオス2世の順となります。アルタクセルクセス1世を継いだクセルクセス2世は、2ヶ月で異母弟のソグディアノスに暗殺されてしまい、王位を簒奪したソグディアノスも、数か月後に別の異母弟のダレイオス2世に殺害されました。この二代の王は、在位も短くて墓を造ってもらえなかったようです。ダレイオス2世の跡を継いだアルタクセルクセス2世の墓はペルセポリスに造られて、ナグシェ・ロスタムでの墓造りは終わったようです。
なお、ダレイオス1世は、キュロス大王の死後、内乱を治めて王位につきました。中央集権統治を確立し帝国の繁栄をもたらしました。ギリシアとの間で、約50年に及ぶペルシア戦争を開始させましたが、戦争の途中でダレイオスは死去し、戦いは息子のクセルクセス1世に引き継がれました。
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これはクセルクセス1世の王墓ですが、ナグシェ・ロスタムの墓はいづれも同じ構造で、崖の壁面が十字型に彫りこまれて造られています。上部には王座を臣民が支える王座かつぎのレリーフやゾロアスター教のシンボルが飾られています。
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あまり知られていないペルシャ帝国ですが、このクセルクセス1世は、映画「300(スリーハンドレッド)」における敵役で登場します。ペルシャ戦争においてスパルタのレオニダス王が300人の親衛隊と共に、クセルクセス1世が率いる100万のペルシア軍を迎撃し、善戦むなしく全滅したテルモピュライの戦いを描いています。クセルクセス1世は、この後のサラミスの海戦に敗北し、ギリシャ攻略は失敗し、ペルシャ帝国の衰退を招きました。ただ、この映画、クセルクセス1世を黒人系の怪物じみた姿に描いており、イラン政府がイラン人の先祖であるペルシア人を激しく冒涜していると非難したといいます。あくまでファンタジーとして見る必要があります。
もうひとつ、クセルクセス1世は、ヘンデル作曲「クセルクセス(セルセ)」の主人公として登場します。このオペラは、ギリシアの歴史家ヘロドトスの「歴史」に書かれたエピソードに基づいているといいます。「クセルクセスは弟のマシステスの妻ばかりかその娘にまで手を出し、クセルクセスの妻であったアメストリスは嫉妬に怒り、マシステスの妻を殺害して、その死体を夫に与えた」という陰惨なものです。ヘンデルのオペラはクセルクセスが弟の恋人に横恋慕し、恋のごたごたの末にハッピーエンドとなる、ゆるいストーリーに変わっており、ペルシャの王を主人公にする必要がどこにあるのか判らない物語に変わっています。このオペラの見どころは、開幕早々に歌われる「オンブラマイフ(いとしい緑の木陰)」のアリアですが、全幕を見通すには少々辛いものがあります。ヘロドトスの原作に従うなら、作曲者はリヒャルト・シュトラウスあたりが相応しいように思えますね。
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王墓の前の窪地に進んでいきます。
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墓の下部の岩壁には、ササーン朝時代のレリーフが施されています。ササーン朝は、アケメネス朝がアレクサンダー大王によってほろばされた後にその配下のセレウコスによって造られたセレウコス朝、遊牧民によるアルサケス朝と続いた後に現れたペルシャの大帝国です。
ダレイオス1世の墓の右下方には、シャープール1世の息子ナルセの叙任式を描いたレリーフがあります。
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他のレリーフの保存状態からすると、顔がはっきりしている所は修復後のように見えます。
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ダレイオス1世の墓の下には「バハラーム2世の勝利」のレリーフがあります。
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クセルクセス1世とダレイオス1世の墓の間には、高さ7mの大きさで「騎馬戦勝図」が描かれています。ササーン朝は、東ローマ帝国との間で度々戦いを行いました。このレリーフは、シャープール1世が東ローマ帝国の皇帝ヴァレリアヌスを捕虜とする大勝利を収めた記念碑として造られました。
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他にも騎馬戦のレリーフが見られました。
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王墓の前には、ソロアスター教の神殿が置かれていました。
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ナグシェ・ロスタムの見学を終えて昼食をとり、その後ヤズドへ向かいましたが、その途中、ペルセポリスの北東87kmにあるパサルガルダエのキュロス大王の墓を見学しました。
パサルガルダエは、キュロス大王によって造られたアケメネス朝最初の首都です。
アレクサンダー大王は、ペルセポリス攻略の後にこのキュロス大王の墓を訪れて、中から宝物を取り出したとギリシャの歴史書に伝えられています。
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アラブ人がこの地を支配するようになった時には、ソロモン王の母の墓であるとして破壊を免れたといいます。
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この後は、今回のイラン旅行の中で最長のバス移動になりました。人家の無い広大な砂漠地帯が続きました。
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思っていたよりも立派な道が砂漠の中に一直線に続いていました。
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日が沈んでいきました。
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砂漠の中に現れた建物は、キャラバンサライ(隊商宿)でしょうか。
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雪をかぶった山も見えてきました。シール・クーフ山(4074m)でしょうか。
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空が赤く染まってきました。
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満月が空に浮かんでいました。
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街にも灯りが灯り始めました。すっかり暗くなってからもうひと走りしてヤズドに到着しました。
車窓から、岩山の尾根の末端部に造られた王墓が見えてきました。
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ナグシェ・ロスタムの入り口。
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入ってすぐの所に高台があり、ナグシェ・ロスタムの全景を眺めることができました。
右端に、角度が少し違えてクセルクセス1世の墓。
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続いて、右からダレイオス1世、アルタクセルクセス1世、ダレイオス2世の墓が並んでいます。もっとも、ダレイオス1世の墓以外は、別な説もあるようです。
時代的には、ダレイオス1世、クセルクセス1世、アルタクセルクセス1世、二代飛んでダレイオス2世の順となります。アルタクセルクセス1世を継いだクセルクセス2世は、2ヶ月で異母弟のソグディアノスに暗殺されてしまい、王位を簒奪したソグディアノスも、数か月後に別の異母弟のダレイオス2世に殺害されました。この二代の王は、在位も短くて墓を造ってもらえなかったようです。ダレイオス2世の跡を継いだアルタクセルクセス2世の墓はペルセポリスに造られて、ナグシェ・ロスタムでの墓造りは終わったようです。
なお、ダレイオス1世は、キュロス大王の死後、内乱を治めて王位につきました。中央集権統治を確立し帝国の繁栄をもたらしました。ギリシアとの間で、約50年に及ぶペルシア戦争を開始させましたが、戦争の途中でダレイオスは死去し、戦いは息子のクセルクセス1世に引き継がれました。
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これはクセルクセス1世の王墓ですが、ナグシェ・ロスタムの墓はいづれも同じ構造で、崖の壁面が十字型に彫りこまれて造られています。上部には王座を臣民が支える王座かつぎのレリーフやゾロアスター教のシンボルが飾られています。
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あまり知られていないペルシャ帝国ですが、このクセルクセス1世は、映画「300(スリーハンドレッド)」における敵役で登場します。ペルシャ戦争においてスパルタのレオニダス王が300人の親衛隊と共に、クセルクセス1世が率いる100万のペルシア軍を迎撃し、善戦むなしく全滅したテルモピュライの戦いを描いています。クセルクセス1世は、この後のサラミスの海戦に敗北し、ギリシャ攻略は失敗し、ペルシャ帝国の衰退を招きました。ただ、この映画、クセルクセス1世を黒人系の怪物じみた姿に描いており、イラン政府がイラン人の先祖であるペルシア人を激しく冒涜していると非難したといいます。あくまでファンタジーとして見る必要があります。
もうひとつ、クセルクセス1世は、ヘンデル作曲「クセルクセス(セルセ)」の主人公として登場します。このオペラは、ギリシアの歴史家ヘロドトスの「歴史」に書かれたエピソードに基づいているといいます。「クセルクセスは弟のマシステスの妻ばかりかその娘にまで手を出し、クセルクセスの妻であったアメストリスは嫉妬に怒り、マシステスの妻を殺害して、その死体を夫に与えた」という陰惨なものです。ヘンデルのオペラはクセルクセスが弟の恋人に横恋慕し、恋のごたごたの末にハッピーエンドとなる、ゆるいストーリーに変わっており、ペルシャの王を主人公にする必要がどこにあるのか判らない物語に変わっています。このオペラの見どころは、開幕早々に歌われる「オンブラマイフ(いとしい緑の木陰)」のアリアですが、全幕を見通すには少々辛いものがあります。ヘロドトスの原作に従うなら、作曲者はリヒャルト・シュトラウスあたりが相応しいように思えますね。
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王墓の前の窪地に進んでいきます。
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墓の下部の岩壁には、ササーン朝時代のレリーフが施されています。ササーン朝は、アケメネス朝がアレクサンダー大王によってほろばされた後にその配下のセレウコスによって造られたセレウコス朝、遊牧民によるアルサケス朝と続いた後に現れたペルシャの大帝国です。
ダレイオス1世の墓の右下方には、シャープール1世の息子ナルセの叙任式を描いたレリーフがあります。
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パサルガルダエは、キュロス大王によって造られたアケメネス朝最初の首都です。
アレクサンダー大王は、ペルセポリス攻略の後にこのキュロス大王の墓を訪れて、中から宝物を取り出したとギリシャの歴史書に伝えられています。
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アラブ人がこの地を支配するようになった時には、ソロモン王の母の墓であるとして破壊を免れたといいます。
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この後は、今回のイラン旅行の中で最長のバス移動になりました。人家の無い広大な砂漠地帯が続きました。
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思っていたよりも立派な道が砂漠の中に一直線に続いていました。
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日が沈んでいきました。
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砂漠の中に現れた建物は、キャラバンサライ(隊商宿)でしょうか。
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空が赤く染まってきました。
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満月が空に浮かんでいました。
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