「ウィーンの森」観光を終えてウィーン市内に戻り、急いでオペラ観劇のために、ウィーン・フォルクスオーパーに移動しました。フォルクスオーパーは、中心地から少し離れているため、路面電車とバスの乗り換えが必要になりますが、便も多く、移動はしやすい場所にあります。
ウィーン・フォルクスオーパーは、ウィーンにおいてウィーン国立歌劇場に次ぐオペラハウスで、劇場名の「Volksoper」とは「大衆オペラ座」のような意味で、オペレッタやミュージカルも上演されています。この劇場での最も代表的な演目は、レハール作「メリー・ウィドウ」といって良いでしょう。
今回のウィーン旅行では、スケジュールが厳しいため、夜のオペラ見物は難しいかと思っていたのですが、やはり諦めきれずに、一週前にネットでチケットを購入しました。
この夜は、ウィーン国立歌劇場では、ロッシーニ作「チェネレントラ」が上演されており、普通なら、こちらが第一選択になるはずですが、問題は演出です。舞台写真を見ると、登場人物は、現代の服装のようでした。「読み替え」演出で不愉快な思いをするのもいやなので、「チェネレントラ」は諦めることにしました。
ウィーン・フォルクスオーパーの演目は、フンパーディンク作「ヘンゼルとグレーテル」。欧米ではクリスマスなどに子供連れの観客向けに上演されることが多く、そのため「読み替え」演出が主流のドイツでも過激な解釈は控えられがちなのも好都合です。CDやビデオも何組も持っており、場面とメロディーは頭の中に入っています。
気楽に見ようと思って、中クラスの切符を申し込んだのですが、「そのクラスでも手配できるが、一番良い切符を勧める」という内容のメールの返事が戻ってきました。1万円少々の座席なので、アドヴァイスに従って(金払いの良いカモだったのかもしれませんが)良い席を申し込みました。おかげで、右寄りでしたが、前から三番目という、見やすい席を手に入れることができました。日本での引っ越し公演となれば、一番良い席は数万円を覚悟する必要があり、それに比べれば安いということになります。
ウィーン・フォルクスオーパーのロビー。到着が早かったので、人は集まっていませんでした。切符の受け取りも、印刷してもってきたバウチャーを見せて、すぐに受け取ることができました。
ウィーン・フォルクスオーパーの収容観客数は、着席1473人・立席102人ということで、建物の装飾は比較的地味です。
ボックス席は、子供を連れた家族が大部分を占めていました。
子供が、興味深そうにオーケストラボックスをのぞいていました。
チューニングが始まると、知っているメロディーが流れてきて、期待が高まります。
ヴィオラのパート譜。
フンパーディンク作「ヘンゼルとグレーテル」は、ワーグナーとリヒャルト・シュトラウスの間の時期における最も成功した作品です。「ヘンゼルとグレーテル」は、リヒャルト・シュトラウス指揮によりヴァイマルで初演されました。
フンパーディンクは、一時ワーグナーの下で働いていたこともあり、その影響を大きく受けています。ワーグナーの音楽を、軽快で明るく判りやすくしたものといえます。
オペラは、長い序曲で始まります。楽しめる曲ですが、子供は少し退屈しはじめたようです。三幕仕立てで、二幕が終わった所で休憩。
演奏が終わった後のカーテンコールで、写真撮影を行いました。舞台セットは、お菓子の家です。意外に地味だったのは少し残念でした。右にヘンゼルが閉じ込められた檻、左に魔女を焼き殺した竈があります。
歌手は、いずれも素晴らしい歌唱力と役にあった容姿で楽しませてくれました。
ウィーン・フォルクスオーパーは、「メリーウィドウ」に続いて二回目ですが、今回も楽しむことができました。
劇場で買ったプログラムですが、子供向けオペラということで、面白い仕掛けになっていました。
上半分が仕掛け絵本になっており、下半分に粗筋が書いてありました。手書き文字のために読めませんが。
第一幕。
貧しいほうき職人の夫婦ペーターとゲルトルート、2人の子供のヘンゼルとグレーテルが住んでいました。ある日、留守番をしていた兄妹が言いつけられた仕事に飽きて、遊んでいるところにゲルトルートが帰宅します。仕事もせずに遊んでいることに腹を立てて、ゲルトルートは、ヘンゼルにお仕置きをしようとしますが、ミルクの入ったつぼを割ってしまいます。唯一の食料がなくなり困ったゲルトルートは、子供たちを森へいちごを摘みに行かせます。
そこに、箒が売れて食料をたくさん持ったペーターが、陽気に歌いながら帰宅し、ゲルトルートは機嫌を直します。しかし、子供たちが森へ行ったことを知ったペーターが、森にはお菓子の魔女が住んでいて子供を捕まえて食べてしまうと語り、2人は森へ子供たちを捜しに出かけます。
第二幕
兄妹が、森の奥でいちごを摘みながら遊んでいると、日が暮れて帰れなくなってしまいます。木陰には、物の怪が見え隠れするようになります。怯える兄妹を、眠りの精が優しく眠らせてあげます。二人が眠りに落ちると、14人の天使が天界から降りてきて、二人を守るためのベールを掛けます。
この14人の天使の登場場面は、オーケストラ伴奏のパントマイムだけですが、見所の一つになっています。ニューヨーク・メトロポリタン劇場のビデオでは、宙吊りで下りてきましたが、ウィーン・フォルクスオーパーでは、階段から下ってきました。この場面があるため、クリスマスシーズンでの上演演目になっているようです。
第三幕
露の精の歌で兄妹が目を覚ますと、魔女が魔法で作ったお菓子の家が霧の中から現れます。喜んでお菓子の家を食べていると、家の中から魔女が出てきて、2人は捕まってしまいます。ヘンゼルが食べられそうになりますが、機転を利かせて逆に魔女を竈に押し込めてしまいます。竈が爆発すると、魔法により閉じ込められていた他の子供たちも助け出され、そこに助けにやってきた両親が到着します。兄妹が無事であったことを神に感謝する歌で、オペラは終わります。
今回もウィーン国立歌劇場でのオペラ観劇はできませんでしたが、このウィーン楽友協会も体験したい所です。ウィーン再訪の機会がありますやら。
これでウィーンの観光も終わりになって、五日目は日本へ戻るだけになりました。
ウィーン・フォルクスオーパーは、ウィーンにおいてウィーン国立歌劇場に次ぐオペラハウスで、劇場名の「Volksoper」とは「大衆オペラ座」のような意味で、オペレッタやミュージカルも上演されています。この劇場での最も代表的な演目は、レハール作「メリー・ウィドウ」といって良いでしょう。
今回のウィーン旅行では、スケジュールが厳しいため、夜のオペラ見物は難しいかと思っていたのですが、やはり諦めきれずに、一週前にネットでチケットを購入しました。
この夜は、ウィーン国立歌劇場では、ロッシーニ作「チェネレントラ」が上演されており、普通なら、こちらが第一選択になるはずですが、問題は演出です。舞台写真を見ると、登場人物は、現代の服装のようでした。「読み替え」演出で不愉快な思いをするのもいやなので、「チェネレントラ」は諦めることにしました。
ウィーン・フォルクスオーパーの演目は、フンパーディンク作「ヘンゼルとグレーテル」。欧米ではクリスマスなどに子供連れの観客向けに上演されることが多く、そのため「読み替え」演出が主流のドイツでも過激な解釈は控えられがちなのも好都合です。CDやビデオも何組も持っており、場面とメロディーは頭の中に入っています。
気楽に見ようと思って、中クラスの切符を申し込んだのですが、「そのクラスでも手配できるが、一番良い切符を勧める」という内容のメールの返事が戻ってきました。1万円少々の座席なので、アドヴァイスに従って(金払いの良いカモだったのかもしれませんが)良い席を申し込みました。おかげで、右寄りでしたが、前から三番目という、見やすい席を手に入れることができました。日本での引っ越し公演となれば、一番良い席は数万円を覚悟する必要があり、それに比べれば安いということになります。
ウィーン・フォルクスオーパーのロビー。到着が早かったので、人は集まっていませんでした。切符の受け取りも、印刷してもってきたバウチャーを見せて、すぐに受け取ることができました。
ウィーン・フォルクスオーパーの収容観客数は、着席1473人・立席102人ということで、建物の装飾は比較的地味です。
ボックス席は、子供を連れた家族が大部分を占めていました。
子供が、興味深そうにオーケストラボックスをのぞいていました。
チューニングが始まると、知っているメロディーが流れてきて、期待が高まります。
ヴィオラのパート譜。
フンパーディンク作「ヘンゼルとグレーテル」は、ワーグナーとリヒャルト・シュトラウスの間の時期における最も成功した作品です。「ヘンゼルとグレーテル」は、リヒャルト・シュトラウス指揮によりヴァイマルで初演されました。
フンパーディンクは、一時ワーグナーの下で働いていたこともあり、その影響を大きく受けています。ワーグナーの音楽を、軽快で明るく判りやすくしたものといえます。
オペラは、長い序曲で始まります。楽しめる曲ですが、子供は少し退屈しはじめたようです。三幕仕立てで、二幕が終わった所で休憩。
演奏が終わった後のカーテンコールで、写真撮影を行いました。舞台セットは、お菓子の家です。意外に地味だったのは少し残念でした。右にヘンゼルが閉じ込められた檻、左に魔女を焼き殺した竈があります。
歌手は、いずれも素晴らしい歌唱力と役にあった容姿で楽しませてくれました。
ウィーン・フォルクスオーパーは、「メリーウィドウ」に続いて二回目ですが、今回も楽しむことができました。
劇場で買ったプログラムですが、子供向けオペラということで、面白い仕掛けになっていました。
上半分が仕掛け絵本になっており、下半分に粗筋が書いてありました。手書き文字のために読めませんが。
第一幕。
貧しいほうき職人の夫婦ペーターとゲルトルート、2人の子供のヘンゼルとグレーテルが住んでいました。ある日、留守番をしていた兄妹が言いつけられた仕事に飽きて、遊んでいるところにゲルトルートが帰宅します。仕事もせずに遊んでいることに腹を立てて、ゲルトルートは、ヘンゼルにお仕置きをしようとしますが、ミルクの入ったつぼを割ってしまいます。唯一の食料がなくなり困ったゲルトルートは、子供たちを森へいちごを摘みに行かせます。
そこに、箒が売れて食料をたくさん持ったペーターが、陽気に歌いながら帰宅し、ゲルトルートは機嫌を直します。しかし、子供たちが森へ行ったことを知ったペーターが、森にはお菓子の魔女が住んでいて子供を捕まえて食べてしまうと語り、2人は森へ子供たちを捜しに出かけます。
第二幕
兄妹が、森の奥でいちごを摘みながら遊んでいると、日が暮れて帰れなくなってしまいます。木陰には、物の怪が見え隠れするようになります。怯える兄妹を、眠りの精が優しく眠らせてあげます。二人が眠りに落ちると、14人の天使が天界から降りてきて、二人を守るためのベールを掛けます。
この14人の天使の登場場面は、オーケストラ伴奏のパントマイムだけですが、見所の一つになっています。ニューヨーク・メトロポリタン劇場のビデオでは、宙吊りで下りてきましたが、ウィーン・フォルクスオーパーでは、階段から下ってきました。この場面があるため、クリスマスシーズンでの上演演目になっているようです。
第三幕
露の精の歌で兄妹が目を覚ますと、魔女が魔法で作ったお菓子の家が霧の中から現れます。喜んでお菓子の家を食べていると、家の中から魔女が出てきて、2人は捕まってしまいます。ヘンゼルが食べられそうになりますが、機転を利かせて逆に魔女を竈に押し込めてしまいます。竈が爆発すると、魔法により閉じ込められていた他の子供たちも助け出され、そこに助けにやってきた両親が到着します。兄妹が無事であったことを神に感謝する歌で、オペラは終わります。
今回もウィーン国立歌劇場でのオペラ観劇はできませんでしたが、このウィーン楽友協会も体験したい所です。ウィーン再訪の機会がありますやら。
これでウィーンの観光も終わりになって、五日目は日本へ戻るだけになりました。