階段を上がって第一回廊に進みました。回廊の両脇の壁には、それぞれ上下二段のレリーフが飾られています。
内側の壁の上段は、釈迦の誕生から初転法輪までの物語が、120面に渡って描かれています。下部は、ジャータカなどの説話が描かれています。
外壁にもジャータカが描かれています。
全体では1000にも及ぶレリーフがあるため、一般的には第一回廊の仏伝図を中心に見ることになります。
現地ガイドが、初めの部分だけ説明して上に移動してしまったため、後の自由時間に見学を続けました。一部が抜けてしまってはいますが、おおよその流れはつかむことはできました。
撮影したすべてを載せるわけにもいかないので、おおよその流れに沿って掲載します。
以下のレリーフの解説は、とんぼの本 田枝幹宏、伊藤照司著「ボロブドール遺跡めぐり」に元基づくものです。この本では、仏伝図すべての写真と説明が掲載されているので、ボロブドゥール見学の際には必読です。
第1面 天界の兜率天にいるころの釈迦。
中央の宮殿の中に天女四人を伴って座るのが釈迦。釈迦はこの世に出現する前に天界におり、その様子を示す。左右に太鼓や笛を持って音楽を奏でる天界の天人たちが見られる。
第5面 兜率天で説法する釈迦。
天界の天人たちに最後の説法をなしている場面。中央の宮殿内の人物が釈迦で、右手を上にあげて、今や説法印をなす。その左右に座る人々が天人たちで、中には両手をあわせて合掌している者もいる。
第6面 兜率天で宝冠を弥勒菩薩に渡す。
中央の宮殿の中で、台の上に座るのが弥勒菩薩で、立って宝冠を今やわたすのが、釈迦にあたる。その左右には多くの天人たちがいる。弥勒は釈迦の次に降下することになっている。
第8面 地上にある迦毘羅城の宮殿にて、話し合う浄飯王と麻耶夫人。
この二人は後の釈迦の父と母になる。天界での降下が語られる時、地上ではさまざまなめでたい奇跡が生じた。宮殿の外、左右に家臣やバラモン僧たちが集まっている。
第9面 地上の宮殿の中に座る麻耶夫人。
めでたい奇跡によって香り高い花々が咲き乱れ、麻耶夫人のもとに、宮殿の女官たちが水さしなどをもってよりそう。また画面の左上には二人の天女が飛んで、婦人のもとにやってきている。
第12面 釈迦の兜率天から地上への降下。
中央の聖堂の中にて、座禅をくみ瞑想をしているのが釈迦で、その聖堂は今やあきらかに宙に浮いている。聖堂の左右にはそれを手でささえる天人たちの姿が見られる。
第13面 麻耶夫人の霊夢。
麻耶夫人は夜、白い象がが降りてきて自身のお腹に入るという夢を見た。白象とは天界から降下してきた釈迦のことで、画面の左上にその姿が見られ、右手に麻耶夫人が横たわる。
第15面 アショーカ園を散歩する麻耶夫人。
麻耶夫人は女官の一人に命じて、浄飯王もこの園に来てくれるように伝える。画面の左側、日傘の下に立つのが麻耶夫人で、その左下に女官がひざまずいている。右側には聖堂が描写されている。
第17面 麻耶夫人が不思議な夢について語る。
アショーカ園の家の中で麻耶夫人(向かって右)は、浄飯王(左)に昨夜見た夢について語る。左右に多くの従者たちが見られる。右側にならぶのが女官たちで、左側は臣下たちである。
第22面 麻耶夫人が病人たちに薬草を施される。
画面のほぼ中央で、野外の台の上にのって右手でさしずするのが麻耶夫人。左側に立って薬を施す
第25面 出産前の奇跡。
麻耶夫人の出産が近づき、さまざまな奇跡が生じる。ここでは象やライオンが不思議なことに夫人のもとへやってきた。中央に四頭の象が、その右にライオンが二頭あらわされている。夫人は左側の建物にすわる。
第27面 麻耶夫人が馬車にてルンビニー園へ向かう。
中央の馬車の上にのるのが夫人で、二頭の馬車がそれを引いている。その一頭の上にはうしろ姿で人物があらわされ、そのデッサンはたくみである。また馬車の後からは女官たちがついてくる。
第28面 釈迦の誕生と釈迦による七歩。
画面の中央に無憂樹を配し、その右に麻耶夫人が右脇腹から釈迦を生み出す場面を示す。無憂樹の左側には誕生した釈迦が七本の蓮華の上を歩く光景が描かれている。天人たちが合掌し、たたえている。
第30面 赤ん坊(釈迦)を抱く養母マハプラジャーパティー。
釈迦の母、麻耶夫人は釈迦を生みたもうた後、七日後に他界し、夫人の妹によって釈迦は育てられる。宮殿の中央に赤ん坊を膝の上にのせてだく養母の姿が見られる。
第32面 天界の大自在天は地上に下りてきて、赤ん坊に敬意を表す。
画面左側の家の中で合掌するのが大自在天(左)で、むかいあって義母の膝の上にのる赤ん坊が釈迦である。右側には楯をもつなどした城の臣下たちが見られる。
第33面 太子(釈迦)が寺院に参拝するよう王宮のバラモン僧の長老からすすめられる。
画面の右半分家があり、その中に太子が浄飯王の膝にのったかたちで描かれている。その前には、ひげをはやしたバラモン僧の長老が見られる。
第35面 太子は寺院の前に到着する。
寺院へは大きく長い馬車で向かい、馬車には五人もの人が乗っているが、御者のうしろ、前から二人目が太子にあたる。かなり大きくなった太子の姿が見られ、馬の前を進むのは臣下である。
第36面 大きくなった太子に、太子としての宝冠や装身具を献上する。
左側の家の中には浄飯王がすわり、右側の家の中には今や堂々とした姿ですわっている太子がいる。太子の前には宝冠や装身具を献上する臣下たちが並んでいる。
第56面 太子は城の東門にて老人にであう。
画面中央に馬車があり、日傘がそえられて、その馬車の上に乗るのが太子である。左端には腰のややまがった老人の姿を見る。馬車のまわりには多くの臣下たちが太子につきそっている。
第57面 太子は城の南門にて病人にであう。
同じく馬車に乗り、日傘がそえられているのが太子である。左端にあばら骨のでた、あわれで悲しい病人の姿を樹下に見る。前場面の労苦につづいて病苦を知り、おどろいている太子の姿である。
第58面 太子は城の西門にて死人にであう。
同じく馬車の上に乗っているのが太子である。左側に家があって、その中で横たわる死人の姿を見る。死者をかなしむ人々の姿も見える。太子は老病死の三苦を知り、いよいよ出家の心をかためる。
第93面 菩提樹の下に座って禅定に入った太子。
中央の菩提樹の宝座の上に禅定印をくんで瞑想する太子がすわっている。禅定とは座禅によって心を集中し、真理について考えること。太子の左右には天人や天女が合掌礼拝している。
第94面 禅定に入った太子は、右手で地をさし、悪魔を追い払う。
中央、菩提樹の下にすわるのが太子で、その左右にはさまざまな様相をしたおそろしい悪魔たちの姿が示しだされている。仏伝図のうちでも、きわめてよく知られた一場面である。
第95面 悪魔は美女となり禅定中の太子を誘惑する。
中央に太子がすわり、左右に肉感的な美女に扮した悪魔たちが誘惑の攻撃をしかけ、太子の悟りを妨げようとしている。太子は悪魔をおいはらう。前図より、太子は触地印(降魔印)を結んでいる。
第96面 太子は悟りを開く。
中央に菩提樹があり、その下に太子がすわる。太子は右手で地をさし、触地印をなし、悪魔をはらいのけ、悟りを開き、釈迦となられた。左右の天人たちが太子を讃え、また合掌礼拝しているさまが、そのよろこびを伝えている。
第99面 釈迦の成道を讃えるためにやってきた天人たち。
中央に樹下に座る釈迦を配しているが、今やその右手を上にあげて説法しようとする印相をなしている。また、左右にはすわっている天人たちの姿があり、日傘も二本みられる。
第100面 悟りを開かれて第二週目、釈迦は菩提樹の下の宝座を立って歩きまわる。
画面中央に菩提樹下の宝座があり、その右に釈迦が立つ。その後ろには日傘をもつなどの天人たちの姿が見られる。また左側にはかわいらしい鹿の姿がみえる。
第104面 天界からの四人、四天王が釈迦に鉢をさしあげる。
四天王はそれぞれ、金、銀、水晶、緑玉の四つの鉢を献上したが、釈迦はそれらの鉢を受けとらず、石鉢を取られた。画面中央にすわる釈迦の左右に二人ずつのかたちで四天王が立っている。
第106面 梵天をはじめとする天人達が釈迦のもとにやってきて、説法されるように勧める。
中央に禅定印をむすんで瞑想する釈迦がすわっている。その左右に並んでいるのが、説法を懇願にきている梵天を含めた天人たちである。
第107面 天人や地神や菩提樹の神も釈迦のもとにやってきて、説法くださるよう懇願する。
中央に釈迦が右手を上げて説法印をなしてすわっている。その左右には天人等が現されている。また、空には天人が飛んでいるのがみえる。
第109面 釈迦はマガダ国の王と王妃に出会う。
画面右端に鹿野苑に向かう途中、マガタ国のラージャグリハ(王舎城)にたちよった釈迦が示され、その左に釈迦に布施をなしているマガダ国のビンビサーラ王と王妃が描かれている。
第113面 ウルヴィルヴァーカルバの町の人々が釈迦に美しい宝冠をさしあげる。
画面右端に釈迦が蓮華の上に立ち、その後ろで龍王が日傘をかかげている。左側に美しく飾られた立派な宝座があり、それを献じる人々がいる。
第114面 釈迦はサーラティの町の善男善女から多くの供物を受けて説法する。
中央に釈迦がすわり、右手をあげて説法している。その左右には町の善男善女がさまざまな供物をもって釈迦の近くによりそってきている。
第118面 釈迦は五人のバラモン僧に最初の説法(初転法輪)をなす。
中央に釈迦がすわり、右側に三人、左側に二人の合計五人の比丘たちが現されている。この五人は、釈迦の教えによって改宗してしまったバラモン僧たちである。
第120面 釈迦による本格的な教えの伝道が開始される。
中央に釈迦がすわり、右側に菩薩たち、左側に比丘たち、さらに上部には空を飛んで釈迦のもとへやってきている天人たちが現されている。この仏伝図は涅槃まで描かれることなく、ここで終わる。
今回のツアーは比較的時間の余裕がありましたが、それでも仏伝図のすべてをひとつずつ見て回ることはできませんでした。
内側の壁の上段は、釈迦の誕生から初転法輪までの物語が、120面に渡って描かれています。下部は、ジャータカなどの説話が描かれています。
外壁にもジャータカが描かれています。
全体では1000にも及ぶレリーフがあるため、一般的には第一回廊の仏伝図を中心に見ることになります。
現地ガイドが、初めの部分だけ説明して上に移動してしまったため、後の自由時間に見学を続けました。一部が抜けてしまってはいますが、おおよその流れはつかむことはできました。
撮影したすべてを載せるわけにもいかないので、おおよその流れに沿って掲載します。
以下のレリーフの解説は、とんぼの本 田枝幹宏、伊藤照司著「ボロブドール遺跡めぐり」に元基づくものです。この本では、仏伝図すべての写真と説明が掲載されているので、ボロブドゥール見学の際には必読です。
第1面 天界の兜率天にいるころの釈迦。
中央の宮殿の中に天女四人を伴って座るのが釈迦。釈迦はこの世に出現する前に天界におり、その様子を示す。左右に太鼓や笛を持って音楽を奏でる天界の天人たちが見られる。
第5面 兜率天で説法する釈迦。
天界の天人たちに最後の説法をなしている場面。中央の宮殿内の人物が釈迦で、右手を上にあげて、今や説法印をなす。その左右に座る人々が天人たちで、中には両手をあわせて合掌している者もいる。
第6面 兜率天で宝冠を弥勒菩薩に渡す。
中央の宮殿の中で、台の上に座るのが弥勒菩薩で、立って宝冠を今やわたすのが、釈迦にあたる。その左右には多くの天人たちがいる。弥勒は釈迦の次に降下することになっている。
第8面 地上にある迦毘羅城の宮殿にて、話し合う浄飯王と麻耶夫人。
この二人は後の釈迦の父と母になる。天界での降下が語られる時、地上ではさまざまなめでたい奇跡が生じた。宮殿の外、左右に家臣やバラモン僧たちが集まっている。
第9面 地上の宮殿の中に座る麻耶夫人。
めでたい奇跡によって香り高い花々が咲き乱れ、麻耶夫人のもとに、宮殿の女官たちが水さしなどをもってよりそう。また画面の左上には二人の天女が飛んで、婦人のもとにやってきている。
第12面 釈迦の兜率天から地上への降下。
中央の聖堂の中にて、座禅をくみ瞑想をしているのが釈迦で、その聖堂は今やあきらかに宙に浮いている。聖堂の左右にはそれを手でささえる天人たちの姿が見られる。
第13面 麻耶夫人の霊夢。
麻耶夫人は夜、白い象がが降りてきて自身のお腹に入るという夢を見た。白象とは天界から降下してきた釈迦のことで、画面の左上にその姿が見られ、右手に麻耶夫人が横たわる。
第15面 アショーカ園を散歩する麻耶夫人。
麻耶夫人は女官の一人に命じて、浄飯王もこの園に来てくれるように伝える。画面の左側、日傘の下に立つのが麻耶夫人で、その左下に女官がひざまずいている。右側には聖堂が描写されている。
第17面 麻耶夫人が不思議な夢について語る。
アショーカ園の家の中で麻耶夫人(向かって右)は、浄飯王(左)に昨夜見た夢について語る。左右に多くの従者たちが見られる。右側にならぶのが女官たちで、左側は臣下たちである。
第22面 麻耶夫人が病人たちに薬草を施される。
画面のほぼ中央で、野外の台の上にのって右手でさしずするのが麻耶夫人。左側に立って薬を施す
第25面 出産前の奇跡。
麻耶夫人の出産が近づき、さまざまな奇跡が生じる。ここでは象やライオンが不思議なことに夫人のもとへやってきた。中央に四頭の象が、その右にライオンが二頭あらわされている。夫人は左側の建物にすわる。
第27面 麻耶夫人が馬車にてルンビニー園へ向かう。
中央の馬車の上にのるのが夫人で、二頭の馬車がそれを引いている。その一頭の上にはうしろ姿で人物があらわされ、そのデッサンはたくみである。また馬車の後からは女官たちがついてくる。
第28面 釈迦の誕生と釈迦による七歩。
画面の中央に無憂樹を配し、その右に麻耶夫人が右脇腹から釈迦を生み出す場面を示す。無憂樹の左側には誕生した釈迦が七本の蓮華の上を歩く光景が描かれている。天人たちが合掌し、たたえている。
第30面 赤ん坊(釈迦)を抱く養母マハプラジャーパティー。
釈迦の母、麻耶夫人は釈迦を生みたもうた後、七日後に他界し、夫人の妹によって釈迦は育てられる。宮殿の中央に赤ん坊を膝の上にのせてだく養母の姿が見られる。
第32面 天界の大自在天は地上に下りてきて、赤ん坊に敬意を表す。
画面左側の家の中で合掌するのが大自在天(左)で、むかいあって義母の膝の上にのる赤ん坊が釈迦である。右側には楯をもつなどした城の臣下たちが見られる。
第33面 太子(釈迦)が寺院に参拝するよう王宮のバラモン僧の長老からすすめられる。
画面の右半分家があり、その中に太子が浄飯王の膝にのったかたちで描かれている。その前には、ひげをはやしたバラモン僧の長老が見られる。
第35面 太子は寺院の前に到着する。
寺院へは大きく長い馬車で向かい、馬車には五人もの人が乗っているが、御者のうしろ、前から二人目が太子にあたる。かなり大きくなった太子の姿が見られ、馬の前を進むのは臣下である。
第36面 大きくなった太子に、太子としての宝冠や装身具を献上する。
左側の家の中には浄飯王がすわり、右側の家の中には今や堂々とした姿ですわっている太子がいる。太子の前には宝冠や装身具を献上する臣下たちが並んでいる。
第56面 太子は城の東門にて老人にであう。
画面中央に馬車があり、日傘がそえられて、その馬車の上に乗るのが太子である。左端には腰のややまがった老人の姿を見る。馬車のまわりには多くの臣下たちが太子につきそっている。
第57面 太子は城の南門にて病人にであう。
同じく馬車に乗り、日傘がそえられているのが太子である。左端にあばら骨のでた、あわれで悲しい病人の姿を樹下に見る。前場面の労苦につづいて病苦を知り、おどろいている太子の姿である。
第58面 太子は城の西門にて死人にであう。
同じく馬車の上に乗っているのが太子である。左側に家があって、その中で横たわる死人の姿を見る。死者をかなしむ人々の姿も見える。太子は老病死の三苦を知り、いよいよ出家の心をかためる。
第93面 菩提樹の下に座って禅定に入った太子。
中央の菩提樹の宝座の上に禅定印をくんで瞑想する太子がすわっている。禅定とは座禅によって心を集中し、真理について考えること。太子の左右には天人や天女が合掌礼拝している。
第94面 禅定に入った太子は、右手で地をさし、悪魔を追い払う。
中央、菩提樹の下にすわるのが太子で、その左右にはさまざまな様相をしたおそろしい悪魔たちの姿が示しだされている。仏伝図のうちでも、きわめてよく知られた一場面である。
第95面 悪魔は美女となり禅定中の太子を誘惑する。
中央に太子がすわり、左右に肉感的な美女に扮した悪魔たちが誘惑の攻撃をしかけ、太子の悟りを妨げようとしている。太子は悪魔をおいはらう。前図より、太子は触地印(降魔印)を結んでいる。
第96面 太子は悟りを開く。
中央に菩提樹があり、その下に太子がすわる。太子は右手で地をさし、触地印をなし、悪魔をはらいのけ、悟りを開き、釈迦となられた。左右の天人たちが太子を讃え、また合掌礼拝しているさまが、そのよろこびを伝えている。
第99面 釈迦の成道を讃えるためにやってきた天人たち。
中央に樹下に座る釈迦を配しているが、今やその右手を上にあげて説法しようとする印相をなしている。また、左右にはすわっている天人たちの姿があり、日傘も二本みられる。
第100面 悟りを開かれて第二週目、釈迦は菩提樹の下の宝座を立って歩きまわる。
画面中央に菩提樹下の宝座があり、その右に釈迦が立つ。その後ろには日傘をもつなどの天人たちの姿が見られる。また左側にはかわいらしい鹿の姿がみえる。
第104面 天界からの四人、四天王が釈迦に鉢をさしあげる。
四天王はそれぞれ、金、銀、水晶、緑玉の四つの鉢を献上したが、釈迦はそれらの鉢を受けとらず、石鉢を取られた。画面中央にすわる釈迦の左右に二人ずつのかたちで四天王が立っている。
第106面 梵天をはじめとする天人達が釈迦のもとにやってきて、説法されるように勧める。
中央に禅定印をむすんで瞑想する釈迦がすわっている。その左右に並んでいるのが、説法を懇願にきている梵天を含めた天人たちである。
第107面 天人や地神や菩提樹の神も釈迦のもとにやってきて、説法くださるよう懇願する。
中央に釈迦が右手を上げて説法印をなしてすわっている。その左右には天人等が現されている。また、空には天人が飛んでいるのがみえる。
第109面 釈迦はマガダ国の王と王妃に出会う。
画面右端に鹿野苑に向かう途中、マガタ国のラージャグリハ(王舎城)にたちよった釈迦が示され、その左に釈迦に布施をなしているマガダ国のビンビサーラ王と王妃が描かれている。
第113面 ウルヴィルヴァーカルバの町の人々が釈迦に美しい宝冠をさしあげる。
画面右端に釈迦が蓮華の上に立ち、その後ろで龍王が日傘をかかげている。左側に美しく飾られた立派な宝座があり、それを献じる人々がいる。
第114面 釈迦はサーラティの町の善男善女から多くの供物を受けて説法する。
中央に釈迦がすわり、右手をあげて説法している。その左右には町の善男善女がさまざまな供物をもって釈迦の近くによりそってきている。
第118面 釈迦は五人のバラモン僧に最初の説法(初転法輪)をなす。
中央に釈迦がすわり、右側に三人、左側に二人の合計五人の比丘たちが現されている。この五人は、釈迦の教えによって改宗してしまったバラモン僧たちである。
第120面 釈迦による本格的な教えの伝道が開始される。
中央に釈迦がすわり、右側に菩薩たち、左側に比丘たち、さらに上部には空を飛んで釈迦のもとへやってきている天人たちが現されている。この仏伝図は涅槃まで描かれることなく、ここで終わる。
今回のツアーは比較的時間の余裕がありましたが、それでも仏伝図のすべてをひとつずつ見て回ることはできませんでした。